今年2回目のブログは、1が三つ並ぶ日となりました。
酒丸です。
この1/11、実はずっと昨年から待っていたのですよ〜!
その理由は…
せっかくなのでもったいつけて最後に書く様にします(笑)
本日は…
梅春物として入荷して来た商品を元に、
「手紡ぎ」についてお話しさせてもらいます。
ドライボーンズとしては…
基本的に「懐古趣味」な紳士洋品店を目指しているので、
古っぽいモノツクリに根差した商品展開をしている。
この「古っぽい」とか「クラシック」とか、
「懐古趣味」とかという捉え方は、十人十色。
私くらいの年代であれば、1950年代〜70年代は充分に古臭い。
が、ウチの店で働いている20代の若者とかだと、
1980年代くらいまで充分にクラシックらしい。
私は元々「古道具屋」をやっていたので、
古い物に関しての造詣は一般人よりもあると思っている。
古道具の世界では100年以上経っている物がアンティークとか骨董とか呼ばれる。
50年くらいならば、まだ「ジャンク」「古道具」のレベル。
これは今の情報化の時代に、もしかしたらそぐわないのかも。
どんどん「新しくて便利なモノ」が開発されて売り出される現代。
例えばT型フォードとかは、もう100年位前のものだからアンティーク。
でも、1955年のベルエアだって充分にクラッシックカーであり、
1980年代の2ドアスポーツセダンとかも
「古くてカッコいいなぁ」なんて思う様になって来た。
(今の車はカーナビ、ハイブリッド、自動制御とかだから)
さて、「古臭い物」についての考え方は十人十色という事を書いた。
では、殆どの人が共通して「古くて良い物」と認識出来る物とはなんだろう?
それはおそらく「ハンドメイドの物」であり、
なおかつ「現代にまで残り続けている物」という事になる。
産業革命で様々な機械が発明され、
動力を人間の手足以外に求めて作られたものが「工業製品」であり、
逆に人間の手足だけで作られたものが「ハンドメイド」。
衣料に関して言えば「手縫い」の物はやはりクラシック感がある。
という事は「オーダーメイド」は懐古趣味だ。
が、これは「手縫いの技術が継承」されていて初めて本物といえるだろう。
(オーダーメイドといっても、採寸後はすべてミシンで縫っている場合がほとんど)
では衣料の中でも「縫製」ではなく「素材」についてはどうか?
猛烈に縦落ちするデニムもセルビッチ無しのものはシャトル織機で織られているので、
いわばハイテクノロジー工業製品という事になる(一般論)。
セルビッチが付いている物は基本的に旧式力織機で織られており、
アナログながらも工業製品だ。
では「クラシック」に該当するものは?と問われれば…
やはり「手織り」であろう。
織機というマシーンではなく、「鶴の恩返し」に出てくる様な「高機」などの
織り機を使って織ったもの。
これは先日紹介した、ハリスツイードなどが含まれる。
ネームの写真を見てもらえれば解る様に、
「HAND WOVEN」と記されている。
直訳すれば「手織り」という事だ。
手織りという伝統的技術を、英国政府が守って国の産業としている。
この考え方は素晴らしい事だと思う。
そして更に言えば「手紡ぎ」。
まだ「綿」や「毛」の状態の繊維を、人間の手だけでスピンさせて
糸にしていく事を「手紡ぎ」という。
また、色をつける際に化学染料を使うのではなく、
自然界にある動植物や鉱物だけで、しかも人間の手だけで染めていくもの。
こういったものを「手染め」という。
人間の手に染料が付いても害が無い。
こういった「布の文化」を繋いでいく事が出来たら、もっと素晴らしい。
たまたま、数年前に知り合った生地屋さんに面白い事をしている人がいる。
日本を含め、多くの先進国で失われてしまった
「手織り」「手紡ぎ」「手染め」を、発展途上国であるラオスで復活させているのだ。
「手(HAND)が3つで3H」というネーミングにしてみた。
人件費は日本の30分の1、社会的なインフラも整っていない。
しかも社会主義国。
が、なにより棉花栽培に「農薬」を使っていない。
だから身体に優しい。
という事は、きっと心にも優しい筈。
この帽子の素材は、ラオスで作ったインディゴ染め平織。
名付けて「3H キャスケット」。
素材のアップ。
紺色の糸が藍染め、白い糸は晒(色を入れていない綿)。
手紡ぎなので糸の太さも場所によってまちまち。
この風合いが工業製品として進化して初めて、
縦落ちデニムとなるのだ。
実は最近、藍(インディゴ)以外にも多くの染料を扱える様になって来た。
これが一覧表。
藍は酸化する事で染まっていくので、空気に触れさせる回数によって
色の濃さが変わっていく。この表では3段階ある。
他にも赤く染めるラック(カイガラムシという、柑橘類に付く害虫。この虫から採れる染料は衣類以外にもチョコレート等に使われる有益なもの)、
グレーや黒に使うタイコクタン(黒檀の一種。軽く染めればグレーになり、高温で茹でる事で黒に近付く)、
茶系色にはマホガニー(白髪染めやレザーの染色にも使われる)、
黄色や緑色にはジャックフルーツ(実は世界最大の果実。染めには幹の芯を使用)等々。
これらの天然染料を混合したり順番に染め分けしたりして、
様々な色を出していくのだ。
やっと出来上がってきたレインボウストライプのストール。
首に巻くと、手紡ぎの柔らかさが心地よい。
また天然染料なので微妙に色が変化する。
(一応、ドライボーンズなので寿司耳にしてみた:笑)
また、「絣(ネップ)」の技術も有るという事だったので、
今回初めてタテ糸にもヨコ糸にも絣を入れて、
ちょっとフィフティーズ風にもしてみた。
3Hのネップストール!
これぞ手工芸とクラシックの融合!
こんな指示書で良く作れたな…(汗)
インディゴメインの紺色は、白いシャツなどに色が移ってしまうのでご注意。
それも「天然染料」の面白さだけれど。
ライトニングの元編集長、小池くんもお買い上げ。
ここの編集の人達、やっぱり「鼻が効く」というか。
毎月大量の品物を見ているだけあって、
「良いもの」を見分ける能力が備わっていますな。
このシリーズ、もっと深く勉強していきたいので、沢山売れてくれると嬉しい。
しかも、発展途上国の人達の技術向上と賃金向上にも役立っています。
つまり「フェアトレード」という事だ。
さて、本日1/11から…
実は個人的に楽しみにしていたドラマの第2部がついに始まる!
WOWOWで始まる「ボードウオークエンパイア2」!!
マーチンスコセッシが監督総指揮の、1920年代禁酒法時代のノワールドラマ!
昨年の春に第1部が終わり、やっと第2部が完成!
いや〜、早く続きが見たい!
(特にWOWOWからは見返りとかありません:汗)
ではまた!
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