2022年立春の酒丸。

 

 さて。

立春は先週の二月四日に過ぎてしまい、

本来ならもう徐々に暖かくなり始める筈の建国記念日。

酒丸です。

昨夜は報道であれほど「大雪~!」と煽っていた割に、

こっちはただの雨。

1ミリも積もっていません。

そして本日も快晴。

私が住んでいる千葉県館山市では、

梅はおろか早咲きの桜も咲き始めております。

先週近所で見かけた梅。

もう確実に春は来ています。

 

 

 なので、今日はいつもとはちょっと趣向を変えて…

もしかしたら「企画をしている人だけしか興味が無い」かもしれない話を、書いてみようと思います。

 

 

 

 ドライボーンズは創業当初からデニム素材を扱っていますが…

みなさんご存知の通り、

デニムの縫製の場合は「ステッチワーク」という技法を使って生地を縫っています。

 

例えばこれ。

いわゆるセカンドタイプのデニムプリーツジャケット

インディゴ色の生地を、黄色い糸を使って縫製。

正確にはレモンイエローと金茶という「2色の黄色」を使って、

縫製しています。

これはリーバイス、リーやラングラーなどアメリカのデニム御三家を始め、

大半のデニムメーカーが採用している「ステッチワーク」だと思います。

そう、ステッチワークとは…

縫製において地色とは違う糸色で製品を個性化していく事。

本来のステッチワークとは、

刺繍をする上での糸の走らせ方のバリエーションなどの事や、

スーツ縫製の際の襟や前立てなど目立つ場所での縫製方法を言うんですが…

デニムに関しても個性的に見せるために、

誰かが最初に「インディゴ地にイエローの糸」と言うデザインを考え出したのだと思います。

これって、実はホントにすごい事。

 

ただ…

今回に関してはこの「イエローのステッチワーク」からはちょっと離れます。

 

 今のデニム業界から見れば「ネイビー×イエロー」は常識ですが…

ほんの数十年~百年前までは「ネイビー×白」が常識だったのです。

例えばこういったワークジャケット。

自社製品で恐縮ですが、10オンスデニムのエンジニアジャケット。

(なんと近々再生産が決定!お待ちしてくれたお客様、予約をお願いします~)

 

例えばこういったワークジャケット。

いわゆるヒッコリーストライプのカバーオール。

これも自社製品でした。

このカバーオールが、生地違いで同じ形

 

例えばこういったワークジャケット。

ウォバッシュのカバーオール。

このジャケットが、生地が近い

 

上記の3品番、全てインディゴ地(にストライプだったり)なんですが…

ステッチは全てオフホワイト。

つまりこれも「ステッチワーク」なのです。

 

ところが。

ところが、ですよ。

このワークジャケットについては、どうでしょう?

ホワイトダックのワークジャケット

これは地色がオフホワイトで、ステッチもオフホワイト。

 

つまり、ステッチワークじゃない。

もっと言えば…

オフホワイト地のワークジャケットでステッチワークされているモノは、

私は見た記憶がありません。

と言う事は「ワーク系のデニムやキャンバス(ダック)のジャケット(パンツも)は、

基本的に全てオフホワイトのステッチだ」と言う解釈にもなると思うのです。

 

これは何故なんだろう?

おそらく、

ワークウエアというジャンルがアメリカに根付いて「大量生産」され始めてきた時、

きっと誰かが「ミシンの糸は全部白でいいんじゃね?糸換えがめんどいし、その方が早いじゃん!」と、提案したのではないか?と。

 

上記1文の中で、重要なセンテンスがあります。

それは「アメリカ」「大量生産」

 

 

 1760年頃、

英国から始まった産業革命は徐々にヨーロッパ全域に伝わり、

その後アジアや新大陸であるアメリカにも伝わっていきました。

日本に伝わった産業革命は明治維新を起こし、

中国に伝わった産業革命はインドを通じてアヘン戦争になります。

そしてアメリカではほぼ同時期に独立宣言(1776年)、

そしてその後には南北戦争が起こりました(1861~1865)。

そして忘れちゃいけない事象も起こりました。

1849年、カリフォルニアで金鉱が発見されての、ゴールドラッシュ

 

この南北戦争とゴールドラッシュで、

「アメリカという国」「ワークウエアを大量生産する国」になっていったのです。

という事はですよ?

その前、南北戦争やゴールドラッシュ前のアメリカでは、

ワークウエアは無かったのか?

いやいや、そんな事はありません。

「大量生産されていない」

逆に言えば「少量多品種」のワークウエアが生産されていたり、

輸入したりしていたのです。

 

輸出していた先は、もちろんヨーロッパ。

そしてアメリカ本土で慎ましくワークウエアを少量多品種で生産していたのも、

ヨーロッパからの移民だった筈です(1760~1849まで限定で考えれば)。

 

そんな人達が縫製して着ていたワークウエアは、

こんな感じだった筈です。

これはフランスのワークコートを叩き台にドライボーンズで生産している、デニムワークコート

こんな感じです。

これが、ワークジャケットなのにどこかドレッシー。

それはフランス発祥の独特なエレガントさもあるとは思うんですが…

一番のポイントは「ネイビー地にネイビーステッチ」、

つまりステッチワークされていない事だと感じるのです。

 

本来、縫製とは生地の色に合わせた縫製糸で縫います。

これがごく当たり前。

1700~1900年代頃までのヨーロッパでは、

ステッチワークされたデニム地のワークウエアなんて見た事がありません。

ところが、アメリカでは南北戦争とゴールドラッシュがあった為に、

また独立したての若い国家として

「古臭いヨーロッパの因習に囚われず、もっと合理的に行こうぜ」

となって、

ステッチワークという概念が生まれたのではないか?と考えるのです。

 

ステッチひとつをこれだけ歴史と照らし合わせて考える事が出来るのも、

ヴィンテージと新品縫製の両方を見ていないと発想しないのかもしれません。

そしてそれはドライボーンズの壮大な無駄な部分なのかもしれませんが(汗)

 

 

 まぁ、そんなこんなで、

ドライボーンズのモノ作りにおけるデニム素材には…

ステッチワークされたアイテムと、

そうでないアイテムがある、とわかっておいてください。

そしてその2つには上記のような理由付けで企画している、

と考えてくれて良いです。

 

つまりステッチワークされているアイテムは「アメリカ」と、

「ゴールドラッシュ後の大量生産」が絡んでいるアイテム。

逆にステッチワークされていないアイテムは、

「産業革命後のヨーロッパの影響を受けているワークウエア」です。

 

 

 そこで改めてご紹介(異様に長い)。

やっと最近全サイズが再入荷した、デニムワークトラウザーズ

 

おそらく、もう15年近く作り続けている定番的なボトム。

当初から10オンスデニムですが、

何度かデニムの生産元が変更になったり、

使っていたボタンが廃番になったりして、

徐々に変化(進化)している品番です(まるで某ブランドの501のように)。

 

先に書いた様に、

まだ色濃くヨーロッパのワークウエアを踏襲したデザインとなっており…

ジッパーが開発される以前のデザインなのでボタンフライ、

そして合わせには尖った打ち合わせパーツが付く、

通称「カラス口」を採用。

コインポケットも細い細い両玉縁。

この箇所の裁断縫製を手掛けてくれている職人さんに、頭が下がります。

素晴らしい美しさ。

 

何度かデザインが変更になった、サスペンダーボタン。

今はワンスター+月桂樹。

これももう廃番のボタンなので、今の在庫が終わったら変更になります。

ベルト裏スレーキには、サイズの印字を入れています。

アメリカっぽいでしょ?

 

便宜上ベルトループは付けてはいますが…

本来、この年代設定ならばウエスト調節はバックストラップ。

なのでヒップラインを出すためのダーツにストラップを挟み込んで、

真鍮製の手曲げ尾錠をあしらっております。

真鍮の無垢材、柔らかいので気をつけて。

 

後ろ中心の内側。

ここが一番「ヨーロッパっぽさ」を感じる部分かもしれません。

アメリカの大量生産ならば、

ここは巻き縫いか本縫いダブルステッチですが…

ちゃんとウエストバンドはセンターで割り、

身頃も縫い代を充分に残してセンター割り。

これは「ウエストサイズを調節出来る」仕様になっている、という事。

産業革命初頭の頃の、

まだ物資が豊富には無かった時代の「ビスポーク感」が残っている縫製仕様。

 

実はちょっとここだけ遊んでいます。

小股部分のリベット。

実はこれ、

LEVI’SのXXに付いていた股リベットをイメージして付けています。

LEVI’Sは、

第二次世界大戦時の物資統制でこの部分のリベットを廃止しましたが…

それまでは「馬が双方向から引っ張っても裂けない」様に、

股リベットを採用していました。

この股リベットは、ポケットリベットの採用と同時に採用された様です。

つまり、LEVI’S XXが企画された1873年には、既に存在していた様です。

しかも面白い事に、

この股リベットは当時も色んなブランドが勝手に採用していたらしい。

なので、ドライボーンズもこっそり付けてみました。

馬が双方向から引っ張っても裂けないと思います(嘘)。

 

 

これは私が穿いている、最初期のデニムワークトラウザーズ。

ボタンやスレーキが、現行品とは違っています。

第一、デニムが全然違いますね…。

色のフェード感が凄い。

皆さんが持っているドライボーンズのデニムシリーズ、

ひとつづつ背景や歴史観を推測してみるのも、一興かと。

 

 

 さて、ここからはお知らせです。

年明けからの過剰なオミクロン報道で飲食店は大変な事になっていますが…

それは我々物販業も同じ。

お客様が来てくれない事には仕事にならない。

蔓延防止措置を取っていて感染者(本当は陽性者)が減らないのなら、

その対策は間違っているとなぜ気づかないのか?

馬鹿すぎて話にならない。

 

という訳で…

徐々にスペシャルな私物を店頭に出して、

博物館的にお客さまに来ていただこうかと。

 

もう腕時計も結構出していて、

出せばすぐに売れてしまう場合も続いているんですが…

 

ここで超ウルトラスーパーレアな腕時計をお披露目。

LOUVICというブランドのトライアングルウォッチ

しかもミステリーダイヤルジルコニアが埋め込まれています。

私はこの手の「変な形の腕時計」を、もう35年以上集めてきましたが…

このデザインは後にも先にもこの1個体だけしか見た事がありません。

超ウルトラスーパーレアです!

もしこの手の腕時計を探している方がいたら、

是非見に行ってみてください。

眼福物です!

名古屋店の店頭にて、値段を付けて販売中。

 

他にも三角形の時計が出ています。

本当に足が速いので、お早目に。