8月23日、処暑の日。
この「処暑」という季節は…
「陽気止まりて、初めて退き止まむとすれば也」
つまり暑さが峠を越えて後退し始める時、という意味。
こんにちは、約ひと月ぶりの酒丸でございます。
処暑を迎え、
一気に秋物にシフトした店内へのエールとして本日のブログを書いてみる。
本日蘊蓄を書くのは、この…
プリズナージャケット。
実はこの「プリズナージャケット」という言葉そのものは、正式名称ではない。
強いて言えば「第二次世界大戦前のヨーロッパのワークスーツ」みたいな感じだ。
第二次世界大戦前…
大きな企業が大量にワークウエアを作っていたアメリカとは違い、
ヨーロッパは第一次世界大戦の戦後処理に追われ、
縫製業やアパレルで巨大企業が育つ下地が出来ていなかった。
なので昔からのクロージング縫製技術を駆使して、
小さな工房がワークウエアを手工業として作っていたのだ。
そういった事実が垣間見えるのが、こういった映画たち。
「シンドラーズ・リスト」や、「ソハの地下水道」などの、
第二次世界大戦中のナチスによるユダヤ人迫害について迫った映画に、
そういった衣装が使われている場合が多いのだ。
この時代に労働者だった多くの市民が着ていた服が、
前出した「ヨーロッパのワークスーツ」であり、
当然多くのユダヤ人をはじめ、フランス人やポーランド人も着ていた。
なので総称して「プリズナージャケット」というネーミングになっていったのだろう。
別に囚人服として作られた訳でもないのに「プリズナージャケット」と呼ばれてしまうあたり、
この時代のヨーロッパの「深い闇」を感じてしまう。
実際には現在のヨーロッパでもヴィンテージが流通しており…
これは知人から譲っていただいた、1930年代のデッドストック。
ストライプなので正に囚人服、といった見え方もするが、
あくまで柄がたまたまそう見えるだけで、当時はたくさん種類があった中の一つ。
三つボタンのアンコンジャケットに太目のトラウザーズ。
トラウザーズは大きめのバックストラップが付いており、
ヨーロッパモデルらしくピスポケットは無い。
このデッドストックヴィンテージを元に作成した、今季イチオシのワークスーツがこちら!
あえて「ガチャポケ」にしてみた。
色味はチャコールとブラウンのふたつ。
トラウザーズのバックスタイルは、ちょっとカーヴが付いたバックストラップ。
穿き易さを考えて、ダブルのピスポケットもつけた。
このジャケットの秀逸な特徴は、内側にある。
ポケットが付いて一番負担がかかる部分に、内側から共地で補強が付いているのだ。
しかも、アームホールはバイヤステープでパイピングが施されている。
これがもしアメリカ製ならば、ポケット口に閂留めをしてアームホールはダブルの巻き縫いで始末する。
小さな工房が手作業で縫うのか、大手企業が大量に生産するのか、の違いはこういった部分に出る。
なのでドライボーンズとしては、ヨーロッパの技法に倣って内側補強。
アームホールも同じく、バイヤステープでパイピング。
こうすることで「手工業っぽさ」が出る。
ヨーロッパが綿々と育んできたビスポーククロージングは、こういった細やかなワークウエアにも投影されているのだ。
一応、生地のアップも。
ヘリンボーンツイルなので、遠目からは無地っぽく見えるが近付いて見ると光沢がある美しいストライプ。
インナーは白無地のドレスシャツから、野暮ったいヘンリーネックTシャツまで幅広く対応。
ボタンには刻みが入ったクラシックなボタンを使用。
当時の「古き良きヨーロッパ」を演出。
このところ、ドライボーンズでは「ドレッシーなヴィンテージスタイル」が大人気。
これから秋が深まるにつれてウール素材も数多くラインナップされていくが、
まずはコットン素材で一年中着られるアイテムを紹介してみた。
8月後半になって暑さがぶり返して来てはいるが、それもほんのいっときのこと。
このヘリンボーンツイルのコットンスーツは8月初旬に店頭に出したところ、
急激に涼しくなったおかげで一気に捌けてきた。
お早めの試着を、お待ちしております。
そしてここからはお知らせ。
ドライボーンズ大阪店は、この8月でめでたく20周年!
心斎橋パルコに出店して3年後に今の場所に移転、トータルで早20年。
感慨深いものがある。
なので、今週末の8/25は店内にて…
アニバーサリーに感謝すべく、ワタクシ酒丸も大阪店に立ちます!
そしてなんと!
そこではこんなクーポン券もお買い物金額に合わせて配布らしい(オイラは詳しくわかっていない:汗)。
更に!
20周年に語呂合わせした「20000円福袋」もご用意。
個人的には…
今月やっと設置できた「バーレスクサインライト」を見に来て欲しい!
インスタ映え確実!www
更には!
今世間で話題(になっていたりいなかったり)の…
酒丸コレクションのヴィンテージ「ドクロ柄着物(すべて大正時代)」を見せびらかし&販売!(買えるもんなら買ってみなプライス)
更に更に!!
当日の店内では、世界屈指の美味しさ、宮城県塩釜に蔵を構える「阿部勘」の日本酒で振舞い酒!
ではみなさま、8/25土曜日、ドライボーンズ大阪店でお会いしましょう!
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