立冬を過ぎて初めての、酒丸です。
ご無沙汰。
今年は例年よりも「立冬」らしい11月になってきましたね。
いつもより2週間以上早く「寒い!」と感じる日が早く来ました。
はやくもウールや中綿の重装類がサイズ欠けを始めています。
そしてやっと今期のアウターの最終便が入荷。
なので今日のブログはそのアウターの歴史を、ご紹介。
そのアウターとは、これ。
ドライボーンズとして初の企画となった、B-15A。
なぜ「初の企画」なのか?というと…
実はフライトジャケットの中で、私が一番好きな形だから。
一番好きな形なので、一番納得出来るように作りたかった。
ほとんどのフライトジャケットの「祖」と言えるデザインだから、ちゃんと作りたかったのだ。
フライトジャケットと呼ばれる形はたくさんあるけれど…
おそらく一番人気なのはこれ。
ご存知、MA-1。
1986年公開の映画「トップガン」の影響でミリタリーファッションが流行した際、一番売れたデザインなので記憶している人も多いかと。
実際には1953年頃から製造され、1970年代後半まで微修正を繰り返しながら続いた。
ちなみにこれは私物のヴィンテージ。
そしてこのMA-1の元のデザインになったモノが、これ。
B-15D MOD.と呼ばれるジャケット。
ぱっと見はMA-1とほとんど変わらない。
写真を見比べてもらえばわかるが、大きな違いはジッパーのムシのデザインやラベルが白い事くらい。
ジッパーは名門クラウンジッパー。
ラベルが白いのは、B-15Dという品番のジャケットを改造してますよ、という意味の刻印がされているから。
ちなみに、B-15Dが生産されたのも1953年。
このようにモデファイされたのは、1965~67年頃ではないか?と言われている。
この頃のアメリカはベトナム戦争に本格的に参入し始めた頃。
おそらく兵の増強に伴う既存フライトジャケットの改造、というような意味合いがあったのだろう。
ちなみにこれも私物のヴィンテージ。
そしてそのB-15Dの前には…
このB-15Cというジャケットがあった。
このジャケットの製造は1951~52年頃。
つまり、朝鮮戦争の時だ。
この後の1953年、北朝鮮と韓国は休戦協定を結ぶが、韓国内にはアメリカ軍が駐留し続けた。
その駐留軍に1954年に慰問に訪れたのがマリリン・モンローで、その際は「慰問の際の即興的な衣装として」このB-15Cを羽織っている。
ちなみにこれも私物のヴィンテージ。
そのB-15Cの前には当然…
B-15Bという品番が存在する。
このB-15Bは、実はフライトジャケットとして歴史的な転換となったジャケット。
なぜならばそれまでコットンやレザー素材だったアウターシェルに、初めて「ナイロン」という素材を纏った品番なのだ。
これは、戦闘機がそれまでのプロペラ機からジェット機に進化したことが大きい。
速度や高度が大幅に変化したために、パイロットの装備も大幅に変更することが求められたのだ。
ちなみにこれも私物のヴィンテージ。
そしてそのB-15Bの前には当然、B-15Aという品番のジャケットがあった。
これが今回のドライボーンズの新作の元ネタとなった、本物のB-15A。
前出したように、コットン素材最後のフライトジャケットである。
このジャケットが製造されたのは1944~45年。
つまり第二次世界大戦末期に作られたわけだ。
この戦争で、戦闘機も大幅に進化したのだが、それはプロペラ機からジェット機に変わっただけではなかった。
コックピット周りの装備も大幅に変更したのだ。
酸素ボンベが付き、そのボンベから伸びるホースがあり。
更には基地からの交信を行えるような無線も装備され、その無線機からヘルメットに伸びるコードもあった。
そういった細かな操縦席の変更をジャケットで受け止められるように、ホースを固定するための三角形のレザータブがついた。
また、通信用ケーブルをまとめるためのスナップボタン付きタブも、装備された。
更にジェット機内コックピットがより小さくなったために、肘を曲げた状態での操縦を余儀なくされた。
そのため…
裏地であるボアの、肘の内側にあたる部分はホームベース型に削ぎ落とされ、すべりの良い裏地がつくようになったのだ。
ものすごい手間である。
このように、第二次世界大戦から朝鮮戦争を経てベトナム戦争に至るまでのアメリカ軍の進化は、そのままフライトジャケットにも踏襲されているのだ。
ちなみにこれも私物のヴィンテージ。
そんな歴史背景を認識しつつ、ドライボーンズとしては「フライトジャケットっぽいデザインの平和的利用」という名目で毎回フライトジャケットコレクションを増やしていった。
この写真だと分かりづらいかもしれないので、ぜひ店頭で現物を見て欲しい。
襟ボアは本物のムートンを使用。
例年より一足早くやってくる冬将軍にも対応。
が、ジッパー押さえのテープや袖のペンシルポケットは敢えて淡い色を配置し、2トーンにしてみた。
三角形のレザータブや、スナップボタン付きタブもきっちり再現。
そして「私、脱いだらすごいんです」的な、妖艶な裏地!
鮮やかなレオパード柄は保温性抜群!
しかもヴィンテージに忠実に、袖の肘内側のボアは削って裏地を配置。
妖艶なのにちゃんとしてる。
理想的。
このジャケット、先週入荷。
が、11月最初の3連休でいきなりバババッと売れちゃった。
欲しい方は、急ぎましょう。マジで。
そして更に朗報!
半年間の沈黙を破り、ついにバンドワゴンVol.13が出版!
記念すべき「13号」なので、表紙のデザインも一部変えてみた。
嘘くさい報道ばかりが目立つ今のマス・メディアに対抗すべく、コア・メディア(本当の、事実の、みたいな意味合いがある)と名乗ってみた。
真実の情報は、この雑誌の中に。
ではまた来月!
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