1ドル紙幣。第77話。

さて。
十月の最終金曜日となりました。酒丸です。
先週…
「1ドル紙幣の裏側」について、
私なりの推測(色んな文献にも出てくる)を書いてみた。
その内容を要約すると、
『アメリカ国民はフリーメイソンを見習って「ひとつ」になります。』
という内容なのではないか?という事。
なので、今週はその結論に到達する前に存在する「疑問点」を書き出し、
その疑問を払拭してみよう、と思う。
まずは毎回同じ様に、このデザインをシッカリと把握。
drt141031take_1.jpg
右側にはアメリカを象徴する白頭鷲が、
左側(つまりピラミッドを見ている)を向いて描かれている。
そして…
胴体に十三本のストライプが入る旗、
左足には十三本の矢、
右足には十三枚の葉と十三個の実が付いたオリーヴの枝。
頭上には十三個の星が六芒星の形で並び、
口にくわえたリボンには十三文字で「E PLURIBUS UNUM」。
そして左側には、やはり十三段という数字にこだわったピラミッド。
その上には十三文字で「ANNUIT COEPTIS」。
下にはやはりラテン語で「NOVUS ORDO SECLORUM」。
これは「新しい世紀の秩序」という意味で、
英語にすれば「NEW ORDER OF THE AGE」。
なので疑問点とは下記の二つ。
「なぜラテン語なのか?」
「なぜ十三という数字にこだわるのか?」
という事。


この二つの疑問を払拭する為に理解するべき事柄を、
これから書いてみる。
まず、フリーメイソンという秘密結社のおおまかな分類をしてみる。
それがこの表。
dry141031take_2.jpg
中央に書かれているのは、
通称「ブルーロッジ」と言われている、
基本的な集合体。
ここには、
一、エンタイヤードアプレンティス(徒弟)、
二、フェロークラフト(職人)、
三、マスターメイソン(親方)、
という階位がある。
この階位は順番になっていて、
マスターメイソンまで辿り着くと、次のステップに進む事が出来る。
そして、その次のステップは大きく二つに分かれる。
というか、今では選ぶ事が出来ると表現した方が正しいかも。
ひとつはイギリスが起源のヨークライトという儀礼。
メイソン内部では「近代派」とも呼ばれる、
「古くから存在していた方」の派閥(ややこしい)。
もうひとつはフランスが起源のスコティッシュライト
古代スコットランド儀礼、略して古代派と言われるグループ。
(フランス発祥なのにスコットランド、
新しいのに古代派と言う、非常にややこしい間柄)
そして更に衛星的な存在として、
メイソンリーの子供達が入会出来るユースオーダー。
その中にも分派があって、
男子専用のデ・モレー団や、
女子専用のレインボウ等。
また、ソーシャルオーダーとして存在している娯楽・支援団体。
シュライン会やレバノン杉など。
女性だけが入会出来る団体もある。
それがイースタンスターやアマランスなど。
下の写真はヨークライトとスコティッシュライトを絵で表している。
drt141031take_3.jpg
右側がヨークライトの階位、
左側がスコティッシュライトの階位。
この階位というのは…
いわゆる「ステップアップ」のようなもの。
第三段階である「親方」まで上がったら、
スコティッシュライトでは第三十三階位まで用意されている。
その一番トップが、このマーク。
drt141031take_4.jpg
最高評議会とも呼ばれるこのマーク。
THE SOVEREIGN GRAND INSPECTOR GENERAL
(日本語で表現すると全権大監察総監)
という、
非常に仰々しい階級になれるのだ。
過去、ここまで到達出来た人物は少ない。
が、大抵のスコティッシュライトフリーメイソンリーはそこを目指す。
そのステップアップの方法が「秘密の儀式」だから、
秘密結社なのだ

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これは一八一九年に作られたトレーシングボード。
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これは一八二五年に作られたトレーシングボード。
どちらもメンバーでありアーティストでもある人物が描いている。
こういったボードを使って儀式を行い、
それぞれの団体(または団体内の階位)をステップアップしていくのだ。
これらは皆、十八世紀からヨーロッパで始まった秘密結社の、
「参入儀礼」というもの。
非常に仰々しく大げさで、装飾的であり、
しかも神秘的で特権意識をくすぐられる。

中世から近代にかけて、こういった事柄が大流行したのだ。
「遊びで始まった酒飲みの会」に、
「厳かな雰囲気の儀礼を設けて神聖な感じ」にし、
それを「公の場では秘密にして楽しむ」事で、
当時の一般大衆から絶大な支持を受けて広まったのだ。
だから、アメリカの1ドル紙幣なのに…
「ラテン語で表記する」という遊びが入ってくるのだ。
特権意識をくすぐり、神聖な雰囲気に持っていく為に、
わざと読めない言語を用いて博識化したのだ。
これが「なぜラテン語なのか?」の理由
そしてスコティッシュライトの階位を詳しく書いてみる。
これがそのイラスト。
drt141031take_7.jpg
判り易くする為に番号を振ってみた。
一から三は、先ほど書いた徒弟から親方まで。
そしてスコティッシュライトでは、
四、秘密の棟梁(THE SECRET MASTER)、
五、完全なる棟梁(THE PERFECT MASTER)、
六、内密の書記官(THE INTIMATE SECRETARY)、
とステップアップしていく。
七、宰領兼士師(THE PROVOST AND JUDGE)、
八、建築物の管理官(THE INTENDANT OF BUILDING)、
九、九名からなる選ばれし者(THE ELECT OF NINE)、
十、十五名からなる選ばれし者(THE ELECT OF FIFTEEN)、
十一、至高の撰ばれし者(THE SUBLIME ELECT)、
十二、大いなる棟梁の建築師(THE GRAND MASTER ARCHITECT)、
と続く。
だんだん仰々しく厳かなネーミングになっていく。
こういうステップアップが楽しいのだろう。
そして問題の「第十三番目」である。
十三は「イーノックのロイヤルアーチ(THE ROYAL ARCH OF ENOCH)」という。
別名、ソロモンのロイヤルアーチといい、
昔話が元になった称号。
その昔話をちょっとかいつまんで書いてみる。
古代、まだ神の名前は一般に知られていなかった。
その理由は、邪悪な者から神を守るため。
さて、タイトルにあるイーノックは裕福且つ善良な市民で、
全身全霊で神を愛していた。
すると、夢の中で神が現れ、こういった。
「お前程神を愛した者はいない。なので、お前だけに神の名前を教えよう。
だが、誰にも漏らしてはならぬ。」
その神の名前は不思議な発音だった。
しかし、誰にも告げられないので誰かに尋ねる訳にもいかない。
その後、またしても夢で不思議な場所を見た。
イーノックは「ひょっとしたらこの場所に行け」という事なのかもしれない、
と思い、イスラエルのカナンに向かい、辿り着いた。
そこでイーノックは技術者を雇い、
地下を掘らせて九層にもなるアーチ状の天井を持った部屋を作った。
そしてその最下層に、黄金で出来た三角形の板を納めた。
そこにはあらかじめ神の名前を彫っておいた。
それから数千年後。
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上記の人物であるソロモン王が、
その場所に裁判所を建てようと測量を始めた。
すると、偶然地下深くから黄金の三角形の板を発見した。
不思議な刻印を見て、すぐにこれが神の名前だと悟ったソロモン王は、
発見した技師達にロイヤルアーチという称号を与えた。
という昔話。
だから、この十三階位は…
初めて神の名前が明かされる神聖且つ重要な階位
ロイヤルアーチ神殿の基礎となる、神の名が彫られた石
という事は、国家に於ける明文化された基本法を意味しているのだ。
1ドル紙幣の裏側に存在する多くの「十三」は…
アメリカという新大陸に渡り、独立戦争を戦った全国民に対して
「お前達はまるでロイヤルアーチの様だ」
という意味をなしているのである。
これが「なぜ十三という数字にこだわるのか?」
という疑問の答
、だと思う。
その後、
ワシントンやジェファーソンは気付いたのだ。
この様にフリーメイソン的な事柄を紙幣に落とし込むという事は、
民主主義を掲げる新しい国家にとって、決して良い事では無い、と。
フリーメイソンを攻撃してくる勢力から恰好の餌食になるかもしれない。
なので、この話そのものを封印し「秘密」にしてしまったのだ。
今や、フリーメイソンリーでさえ、
「1ドル紙幣にはそんな陰謀は無い」と言っている。
「敵を欺くには、まず味方から。」
おそらく、これが正解だと思う。
さて。
ついに入荷!
drt141031take_9.jpg
このブログに延々と綴ってきた秘密結社の話から…
アメリカ軍の飛行服についてとか、
フィフティーズにまつわる蘊蓄とか、
アウトロウの世界とか、
カワサキマッハについての洞察とか、
更にはバーレスクダンサー美和ロック嬢の書き下し手記まで!
様々な文化をごちゃ混ぜに、
且つ「底が丸見えの底なし沼」状態にまとめあげた雑誌
である
BANDWAGON Vol.3
が、やっと完成!
ご笑読を!
そして。
とりあえず「1ドル紙幣の裏側に隠された秘密。」は、
これで解決したので終了としたい。
一年半、七十七話もの長きに渡り読んでいただき、
ありがとうございました。
今後このブログ内容は、雑誌BANDWAGON内の連載という形で、
改めて加筆修正しながら誌面にしていく予定
ところが。
この秘密結社の事を色々と調べていくうちに面白い事が続々と分かって来た。
例えば…
ノーベル賞やアカデミー賞、オリンピックって、なぜあるの?とか、
裁判官が持つ小槌の由来はフリーメイソンだった?とか、
明治維新と坂本龍馬、三菱財閥のメイソンとの関係性?とか。
こういった「秘密結社の枝葉の話」を、
今後は少しずつ書いていこうと思います。
近代から現在まで、根深く広がる秘密結社の実体。
とりあえず来週は諸事情により休載し、
再来週から新たに「1ドル紙幣、外伝」として
新スタートを切ろうと思います!
お楽しみに!

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