「古きを訪ねて新しきを作り、次世代に繋ぐ」その4。

先日、晴れて51歳になってしまった酒丸です。
ついに半世紀を生きて、その次の年に足を踏み入れる事になりました。
何やら感慨深いものがありますな?。
私の誕生日の頃は、たいてい紅葉が美しい時期。
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今年の紅葉、皆さんはもう見ましたか?
私は本来ならば、51回見ている事になりますが…
今年の紅葉が一番印象に残ったかも。
毎年繰り返される現象の中で、一番新しい事柄が心に刻み込まれる事が大切だと思えるようになってきました。
さて。
そんな中、誕生日絡みでちょっと面白い話を2話ほど書いてみたいと思います。


まずその1。
もう2年ほど前、2014年の年末。
いつもの店で一杯飲もうと思ってドアを開けると…
奥のテーブル席を占拠している団体がありました。
飲み屋の主人に「けっこう繁盛してるじゃーん!」とか話したら…
「ミュージシャンの団体さんが、お誕生会で予約してくれてたんすよ」との事。
ああ、そうなんだ!と話は適当に聞き流して、私は友人とカウンターで飲み始めておりました。
すると、いい感じに出来上がってきた団体さんの中の一人が「あ、酒丸さんだ!こっちで一緒に飲みましょうよ!」と声をかけてくれました。
なんと、お誕生会の主役は「勝手にしやがれ」のリーダー、武藤昭平氏。
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なので皆さんの輪の中に紛れつつ、グダグダと飲ませてもらいました。
その時は「武藤ウエノ」のライヴの打ち上げも兼ねており、ウエノコウジ氏も一緒だったので…
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その宴の際、二人に「これから、ドライボーンズとコラボで何か作れたら面白いね!」なんて話をした記憶があります。
武藤くんは絵を描く才能もあるので、
「じゃあ何か描きますから、それで作ってください!」なんて言ってくれて、トントン拍子に話がまとまり…
数ヶ月後の2015年秋頃にサンプルが完成。
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そしてついに2016年の春に、エンブロイダージャケット「MUTO」が完成。
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フロントは典型的なベトジャンの刺繍に、本来「福」という漢字が入る部分に武藤くんと私の共通の漢字である「武」を配置。
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背中は武藤くんが描いてくれた「阿弥陀如来」を刺繍。
武藤くんの筆の運びすらも刺繍で表現できたと自負しております。
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袖には、お互いの共通宗教であった「浄土真宗」の南無阿弥陀仏。
(その後、私は諸事情により宗派を変えましたが:汗)
数ヶ月後、このジャケットには嬉しいオマケがつきました。
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金髪碧眼の美少女が、ドライボーンズ東京店にてMUTO JACKETを購入してくれました!
そしてこの女性とは…
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映画「インディペンデンス・デイ リサージェンス」に出演していたハリウッド女優、マイカ・モンロー嬢!
更に!
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なんと映画の宣伝インタビューの際、このジャケットを着て撮影に臨んでくれていたのです!
ハリウッド女優が自前の服でインタビューを受ける、
これは実はあり得ない事で…
本来ならばタイアップしているブランドのものしか着てはいけない契約になっているはず。
結果として膨大な人数の映画ファンにも、MUTO JACKETを見てもらえる事になりました。
では改めてヴィンテージのベトジャンの説明を。
ベトジャンとは、スカジャンと同じく戦地での御土産物ジャケットの仲間。
スカジャンが太平洋戦争後の日本駐留軍用お土産ジャケットであるのに対し、
ベトジャンは1960年代から1975年のベトナム戦争終結までのお土産ジャケットなのです。
実のこの2つには「大きな違い」がある事がわかりますか?
スカジャンを購入するアメリカ人は、あくまで戦勝国の駐留軍として買い物をしています。
ベトジャンを購入するアメリカ人は、戦争渦中の兵隊として、任務終了時に帰国用土産として買い物をしているのです。
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これは私が所有していたヴィンテージベトジャン。
胸には吉祥紋としての「虎」と「福」が刺繍されています。
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これはなぜか。
無事に死なずに帰国できるからなのです。
そして後ろ身頃の写真。
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ベトナムの地図を中心に、下には国名、上には都市名が刺繍されており、両脇には所属時の年号が記載。
注意深く読むべきは、都市名の上の文章。
WHEN I DIE I’LL GO TO HEAVEN BECAUSE I’VE SERVED MY TIME IN HELL
この文章は、
「オレが死ぬ時は天国へ行けるだろう、なぜなら今まで地獄で服役していたのだから」
といったような意味。
罪のないベトナムの人達をたくさん殺害し、悪魔のような枯れ葉剤を撒き散らし、自国の兵士もたくさん失った、正に「地獄」での戦争だったのです。
だからこそ、このベトジャンにはスカジャンとは違う「重み」みたいなものがあるような気がします。
そして洋服屋としての観点で見ると、この背刺繍にも奥深い点があります。
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これは地図部分のアップ。
青や黄色の刺繍部分に注目。
野太い糸が上下に横たわっていますが、その上から菱形模様に押さえ刺繍が入っています。
スカジャンのように着物を刺繍するようなミシンが無かったベトナムでは、
広い部分のベタ刺繍をこのように対応する事で糸のほつれを防いでいたのです。
さて。
先ほどのこの写真に戻ります。
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実はワタクシ酒丸は、ウエノ君とはずいぶん昔(まだウエノ君がザ・ミッシェル・ガン・エレファントでベースを弾いていた頃)から仲が良い。
その理由は…プロレス。
知り合う前から、よくドライボーンズ東京店に買い物に来てくれている背の高いミュージシャンという認識はしておりました。
ところが、同一人物と思われる人を全日本プロレスの武道館大会でも見かけてしまい…
その話を本人にしたところ、意気投合。
全日本女子プロレスでも会場でもばったり会うなどの遭遇を経て、
夜な夜なバーで「じつにどうでもいいプロレス話」で盛り上がるようになりました。
なので、ウエノ君とのモノづくりならば「絶対にプロレスネタ」!と心に決めておりました。
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では「ウエノジャケット」の説明を。
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前身頃を正面から撮影。
同じようにベトジャンを元ネタにしつつも、フロント刺繍は「虎」と「花」の刺繍。
この場合の虎は「タイガーマスク(:もちろん三沢版)」を意味し、
花はイギリスのランカシャー市の紋章。このランカシャーの説明として、背刺繍が重要になってくるのです。
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イングランドほぼ中央部、ウェールズ地方の上部にあるのがランカシャー市。
(ちなみに隣には、バイクレースで有名なマン島があります)
このランカシャーにあった伝説のプロレスジム「ビリー・ライレージム」こそが、
漫画「タイガーマスク」に出てくる「虎の穴ジム」の元ネタ「スネーク・ピット(蛇の穴)ジム」なのです。
この「蛇の穴ジム」の出身者がビル・ロビンソンやカール・ゴッチ等で、
のちの日本のプロレスの祖となっていったのです。
そのランカシャーレスリングのスタイルは「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」と呼ばれた、
関節技や絞技などのサブミッションを取り入れたレスリングスタイル。
つまり、現在の総合格闘技につながる太古からの格闘術を体系的にしたスタイルだといわれているのです。
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地図の刺繍の上に描かれた「CATCH AS CATCH CAN」を省略した「CACC」を、袖に施してみました。
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今回の「古きを訪ねて新しきを作り、次世代に繋ぐ。その4」は、盛り沢山になってしまいましたね…。
阿弥陀如来からハリウッド女優、ベトナム戦争を経てランカシャーレスリング(笑)
我が事ながら「無節操な無駄知識」満載ブログに苦笑い。
そうそう、Face Bookには書き込んだのですが…
ワタクシ、先日ラジオ出演(FM世田谷83.4MHZの、StaggerLee&Co.のパイレーツラヂヲ)を果たしました。
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詳しくはコチラ!
今後もなんらかの形で出演をしていきたいと思いますので、毎週チェックを!
最後に。
そんな様々な「無節操な無駄知識」が満載の、ドライボーンズ責任編集「バンドワゴン Vol.11」、もうすぐ発売!
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お楽しみに!

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