四半世紀。
昨日はうだるような暑さでしたが、今朝は雨が降ってグッと気温が下がりました。
雨女の涙雨だったんでしょうか。今日の酒丸は、そんな気持ちで一筆。
1984年、今からちょうど四半世紀前。
オイラは高校を卒業、千葉の田舎町から東京に出てきた。
数ヶ月して少しづつ東京の生活にも慣れ、
若気の至りで色々な場所にも遊びにいくようになった。
小売業に就職して、けっこう離れた場所に寮があったため、あまり遊ぶ時間がない。
もし遊ぶのであれば、朝帰りかそのまま職場に行くか、の2択しかなかった。
新卒1年目なので、雀の涙ほどしか無い給料をやりくりしての夜遊び。
必然的に安く飯が食えて、一晩中遊べる所に行くようになる。
職場は新宿。
遊び場も新宿。
今みたいな小綺麗な新宿ではなく、
もっと猥雑で、無駄にパワーがある、けっこうデンジャラスな新宿だった。
そんな新宿で楽しい仲間が集まる店があった。
新宿ツバキハウス。
曜日によって音楽やDJが変わる、おそらく当時もっとも「猥雑且つエネルギッシュな」ディスコだった(しかも、フリーフード!)。
当時のこんなメニューが出てきた。
(オイラはこういった紙モノが捨てられない性分)

更にアップ。

この木曜日の“ROCK-A-BILLY NITE” に通うようになった。
当時からヴィンテージウェアが好きだったオイラは、
必然的に似たような格好をする連中と仲良くなっていった。
そいつらのグループの名前はギャンブラーズ。
ワンマンボーイズというストリートバンドの追っかけみたいな感じだった。
アーガイルのシャツや、ナッソージャケット、ダブルコバのレザーシューズで身を固めた連中と、よく遊ぶようになった。
その中には数人の女の子もいて...。
やっぱり古着のワンピースやカーディガンで50’Sっぽい格好。
年齢も当時のオイラよりいくらか若く、まだ高校生くらい。
その中に一人だけ、ショートカットでLEVI'Sのセカンドを羽織った美少女もいた。
「あたし、カオリっていうの。川村カオリ。」
そう、自己紹介された記憶がある。
が、オイラは???。
なぜなら...
その子の顔立ちは明らかに「日本語が通じなそうな」お人形さんみたいなハーフだったから。
でも、日本語ベラベラ、日本人より日本人らしい気の遣い方。
しかも、面白くて底抜けに明るい。
女の子同士で、いつもケラケラ笑っている。
ゴツくて古臭い格好をしている(オイラもそうだったけど)男連中に混ざって、
しょっちゅう皆でふざけあっていた。
平日の午後は、原宿のウェンディーズに溜まってずっと雑談。
夏には皆で、車を連ねて御宿海岸に行った事もあった。
もちろん、毎週木曜日は新宿のツバキハウスへ繰り出していた。
木曜日が金曜日になって、「じゃあ、またね〜!」と散り散りになっていく毎週。
その後、オイラは職を変え、渋谷の古道具屋で働き始めた。
ギャンブラーズのメンバーもよく遊びにくてきれた。
カオリはあまり見なくなった。
なんでも、ロンドンに留学しているとか。
そして、風営法改正。ツバキハウスは、夜12時で閉めねばならなくなった。
渋谷の店を夜8時過ぎに閉めて、山手線で新宿まで出て、ツバキまで行ったらもう9時過ぎ。
12時まで3時間くらいしかなく、消化不良。
その後、オイラはその店も辞めて夜のファミレスでバイトを始めた。
カオリに触発された訳ではないが、アメリカに行きたかった。どうしても。
毎日午後8時から明け方4時までフライパンを振る。
当然、ツバキハウスには行けない。
それと引き換えに「アメリカ行き」の夢を手に入れた。
アメリカに行くようになってからは、それが仕事になり始めた。
現地でオイラがセレクトした古着や古物が、どんどん売れていく。
夜のファミレスも辞めた。
土日はどこかで露天商、平日は都内近県の古着屋に営業。忙しかった。
下北沢の店の主人が可愛がってくれて、店も任された。
そして23歳の時、オイラは初めて自分で古着屋を出した。
名前は“RAZZLE DAZZLE” 。
ワンマンボーイズもたまに演奏していた、BILL HALEY & HIS COMETS の曲名から取った。
ギャンブラーズのメンバーもたまに来てくれた。
カオリは...歌手としてデビューしてた。街中のポスターとかで見るようになった。
数年後、オイラは池袋サンシャインの中にも支店を出した。
たまたま、ギャンブラーズの頃のカオリと仲良しのHちゃんが来た。
ちょっと世間話をして帰った。
なんだか、嬉しかった。
カオリ同様、オイラも頑張っているところを見せる事ができたから。
(でもその後、すぐにテナント管理側の◯越と揉めて、退店)
さらに数年後、代官山にオリジナルの服を並べる店を出した。
お客さんも格段に増えた。
たまたま、カオリが旦那と一緒に来店。
「いや、旦那がこの店のこと好きなんだよ〜」
嬉しい事を言ってくれるじゃないの。コイツ!
「じゃあ、またね!」みたいな挨拶をした。
数年前。
友人達との楽しい花見。
久々に会ったカオリは、娘のるちあちゃんと出席。
とりとめも無い話をしたような記憶だけがある。
その頃、癌に冒されていたことを知っていたので、変に気を使って話せなかった。
今年。
友人との会話の中からカオリの病状を聞く。
少しでも手助けできれば、と思い、親戚の漢方医が書いている漢方薬による癌治療の本を渡してもらった。
今年の5月。
渋公(今のC.C.レモンホール)でのカオリのライヴに行く。
周りの席には...ワンマンボーイズ、ギャンブラーズのメンバーもぞろぞろ。
わざと皆を近い席にしてくれたんだろうな。
5月下旬。
ウチの本社でファミリーセール。
その時、カオリのライヴの時の医療スタッフもしていたKちゃんも来てくれた。
必然的にカオリの話になる。
7月24日。
ウチの展示会。
カオリと仲のいい友人も来てくれたので、夜、飲みにいく。
カオリの為に何が出来るのか?を色々と話し合い、「まとまるといいね〜」なんて話す。
7月28日。
オイラは出張で福岡に行く。
福岡店に着いたと同時に、会社にいる嫁から電話が入る。
「カオリさんが亡くなっちゃった...」
7月31日。
告別式。
たくさんの知っている顔。ここまでの話で出てきた主要な人達は皆、いる。
カオリは眠っている。
初めて逢った時みたいに「お人形さんみたいな」綺麗な顔。
とても安らかな寝顔。
これ、唯一の想い出になっちゃった。
(オイラは紙モノが捨てられない性分だった)

カオリへ。
たったの四半世紀、袖が触れ合った程度の付き合いだったけど、楽しかった。
あなたの気の遣い方と根性のアンバランスさも、オイラの見本だった。
告別式で、棺の中で眠っているアナタに
「じゃあ、またね」と言った。
次に逢うのはオイラがあの世に行った時。
宇宙レベルで考えれば、人間の一生なんて一瞬。
「おっ、久しぶりじゃ〜ん」とか、言いそう。




























